加賀乙彦 特別講演

 

日時:2000 年11月10日
場所:講堂大ホール

ゲスト講師:加賀乙彦

     

 

内容:「近代文学に於ける西欧と日本」

 

加賀乙彦(小説家)

1929年東京生まれ。1953年東京大学医学部医学科卒業。1954年東京大学医学部精神医学教室入局。1955年東京拘置所医務部技官(〜1957年)1957年精神医学および犯罪学研究のためフランス留学(〜1960年)1960年東京大学で医学博士号取得。1965年東京医科歯科大学助教授(犯罪心理学教室)。1969年上智大学教授(文学部心理学科)犯罪心理学と精神医学の講座を担当。1979年上智大学を退職し創作に専念され始め、1999年文学者としての業績について第55回日本芸術院賞を受賞。
著作は『フランドルの冬』〈1967年・新潮文庫〉に1968年第18回芸術選奨文部大臣新人賞。『帰らざる夏』〈1973年・講談社文芸文庫〉に1973年第9回谷崎潤一郎賞。『宣告』〈1973年・新潮文庫〉に1973年第11回日本文学大賞。『湿原』〈1985年・新潮文庫〉に1986年第13回大仏次郎賞。『岐路』と『小暗い森』と『炎都』を合わせた小説『永遠の都』〈1997年・新潮文庫〉に1998年第48回芸術選奨文部大臣新人賞、等多数受賞。

齋藤慎爾 特別講演

 

日時:2000 年7月24日

場所:国際学部102講義室

ゲスト講師:齋藤慎爾

     

 

「日本人の自然観をめぐって」〜世紀末における文化の現在

〈齋藤慎爾レジュメより〉
 日本人の自然観というと、「自然と人間との一体感」という自然観が、あたかも真理のように信じられています。それは自然を他者として認識するヨーロッパの思考とは対極にあるというわけです。エコロジーが地球的規模で問題化されている今日、あるいは「こころの時代」が呼号されている現代、この「自然と人間との一体感」という自然観=思想は人々の馴染むものかもしれません。事実、政治家から経済人、芸術家までが、この自然観を自明の理のように喋々しております。「四季の自然を愛する国民」、「自然を大切にする日本人」という美名を世界で名だたる公害の国、環境汚染の国、列島改造の荒廃の国という「事実」が裏切っています。国を、自然を愛することを説く政治家が、樹木を伐採し農薬づけになったゴルフ場でゴルフに興じているというのが日常茶飯事となっているのです。自然の美化、風土の美化、伝統の美化、ヤマトの美化、死者の美化 — はかつて「日本浪曼派」をうみだした文化状況に近づいていくこと必至です。これからの美化作用による「近代の超克」か現象が、今日の芸術家の意識をも飲んでいるのではないでしょうか。小林秀雄の美術批判もその一つです。無常感、幽玄美なる(静態美)=日本の美意識の定着が、どれほど現代芸術の桎梏(しっこく)となったか。縄文のグロテスクでダイナミックな感性、 シュルレアリストのオブジェの発見は、「動じない美」「死への帰一」という思想に支えられる美意識からは生れるようはずはありません。自然、土俗志向は、思想的なよるべを失った現代人が、伝承された形や、ものいわぬ草木にことよせて、あらたな魂の浄化作用をはかるというものとしか思われません。政治・社会・文化分野で進行する安易な自然回帰、伝統回帰の風潮は、とどのつまり、天皇制を支える岩盤に収れんすると思われます。そうした叙情の復活にてをかさぬよう芸術家は自立すべきではないでしょうか。作家、画家、映画監督の最近作に触れながら、現代芸術の未来像を探ります。

 

齋藤慎爾(俳人)

1939年京城生まれ。深夜叢書編集長として、朝日文庫『現代俳句の世界』(全16巻)『俳句の現在』(全16巻)、アサヒグラフ増刊『俳句の時代』などを編集し、近年の俳句ブームの火付け役となった。句集『夏への扉』『秋庭歌』『冬の知 慧』『春の羇旅』、評論集『偏愛的名曲事典』、共編『必携季語秀句用字用例事典』、編著『最初の出発』『現代俳句のパノラマ』『現代俳句ハンドブック』、責任編集『埴谷雄高・吉本隆明の世界』『司馬遼太郎の世紀』『武満徹の世界』『太宰治・坂口安吾の世界』など、多数に及ぶ。

高橋睦郎先生 特別講演

 

日時:2000 年1月13日
場所:301演習室

ゲスト講師:高橋睦郎

     

 

内容:「朗読と対話 アイルランドで考えたこと」

 

高橋睦郎(詩人)

1937年12月15日、福岡県八幡市生まれ。著書は詩集18冊を含め60冊以上。「十二の遠景」(中央公論社)、「花行  高橋睦郎句集」(ふらんす堂)、「柵のむこう」(不識書院)、「倣古抄」(邑心文庫)、「旅の絵」(書肆山田)、「姉の島 宗像神話による家族史の試み」(集英社)、「この世あるいは旅の人」(思潮社)、「読みなおし日本文学史 - 歌の漂泊」(岩波新書)、「旅の身仕度」(創樹社)、「百人一句」(中公新書)等。 最新作は、「恢復期」(書肆山田)